インドネシアの消滅の危機にあるBeaten Bark製の絵巻物ワヤンベベルの保全継承を、社会全体で具体的に促進していく日イ協働の支援・応援プロジェクト

  • アジア・文化創造協働助成
採択年度
平成30 (2018) 年度
助成額
JPY 1,923,123
活動国・地域
インドネシア, 日本

本助成事業は、インドネシアに豊かに残る「幻の紙ダルアンDaluang」に焦点を当てた。その製法は、現在主流の漉いた紙と異なり、新石器時代にさかのぼるカジノキの白皮を叩き延ばして作る樹皮紙Beaten Bark Paperと呼ばれ区分される。樹皮紙の技法と品質は素晴らしいものである。インドネシアの高い技法を示すのが4mx80cmほどの絵巻ワヤンベベルだ。厚さ0.07mmほどの透けるような均質の厚さは、世界最高とされる和紙に匹敵する。
しかし、オリジナルのワヤンべベルWayang Beberを実際に見た人、触れた人は稀となり、素材感や特徴を、間接的に伝えることが、今後の保存や修復を考える上で最優先されることであると判断した。
そこで、1.ビジュアルな「ワヤンベベル記録映像と文献情報」の発掘 2.実像が分からなくなった絵巻の制作技法解明やC-14を用いた科学的年代測定。抽象的な保存修復論議を、現実的な方向に向けていく事 3.インドネシアの樹皮紙の歴史的拠点である中部スラウェシ、ジャワ、バリをつなぐ人と情報のプラットフォームの構築および周知・普及に資する若い世代向き企画を実施した。

関連する国/地域
日本, インドネシア, クロアチア, オランダ
協力団体/協力者
冨岡三智
Mufid Sururi
Tea Škrinjarić
Marina Pretković

申請団体より

 インドネシアの希少な樹皮紙絵巻ワヤンベベルの保護継承に寄与参画でき様々な人的つながりが形成されたこと。それらのことが、インドネシアのみならず、実態のほとんど明らかになっていない東南アジア地域の樹皮紙の起源と由来の解明にも広がっていくことが願われる。思い返せば、「インドネシアやアセアン諸国には、欧米人が来航するまでは”製紙文化は無かった、暗黒地域だった”という定説がある」と語った国立図書館館長の悲しそうな顔を、言葉を忘れられず、いつか覆したい思いが根底にあった。結果として20年間断続的に、一連のテーマで国際交流基金から助成を受ける機会を得たことは感慨深い。

関連する事業

活動国・地域

アジアでのアール・ブリュット作品調査及び専門家交流事業

東南アジアとの民主主義対話とアジア言論人会議

東アジアのコミュニティの増進 ‐感染症、人口動態、都市化と農村‐

ASEAN国際野球プログラム2019

若者から見たASEANと日本の将来

ワンス・アポン・ア・タイム

活動分野

ミャンマーにおける人権に関する交流・教育トレーニング

若手老年学研究者のためのワークショップ「高齢者に優しいコミュニティをつくるアクションリサーチ」

インド・太平洋時代のアジア新秩序:日本・ASEAN・オーストラリア・インドにおけるアジア研究の知的協働

家族と学校からみたASEANと日本

第3回アジア未来会議 ASEAN「宗教と社会」円卓会議《東南アジアの社会環境の変化と宗教の役割》

アセアンに於ける多文化交流を観光振興により実現する為の縦断的・横断的研究